2009年11月17日
N.019 / 壁からの伝言

(写真/むかいあお)
最近、サッカー部の多田先輩が部室の壁を殴って、そこに大きな穴を開けてしまったという話が学校中で噂になった。うちの高校はそれほど荒れている学校ではないから、そうした事件が起こることは、ほとんどなかったので、みんなは面白おかしく想像を膨らませながら壁の穴を覘き込みに部室へやってくる。
「困るんだよな」
部室で着替えていると、二年の先輩と三年の部長は、そう僕たちに向かって口にした。ちょうど、壁の穴を見に来たという一年生の男子たちが部室を後にしたばかりのときだった。
「どうしてですか? サッカー部が有名になっていいじゃないですか」
ふざけた調子で一年の友達がそう返す。すると、先輩は部室の椅子に腰掛けて、
「暇なやつらがしょっちゅう見に来るから、着替えとかもできないだろ」
と、ため息混じりに首を振った。
|1|2|>>








