2008年07月31日
∟ 才能とは…?


才能とは…?
編 : その当時、陸上部以外、どんな部活があったんですか。
瀬戸内寂聴先生 : バレー部、テニス部、弓道部、水泳部といろいろありましたよ。 学校にプールがあったんだけど、陸上部の選手は体を冷やすといけないからって入らなかったんです。だから海に面した徳島の人間なのに泳げないのよ。(笑)
編 : 今の中高生との違いってありましたか。
瀬戸内寂聴先生 : ぜんぜん違いましたね。でもね、私は常にその時代の若い人が好きなんですよ。未来を背負うのは今の中高生なんですよ。だけどいつの時代でも年寄りは自分が若かった時の事を忘れて、「今の若者は・・・」って文句を言うんです。若者が色々と反抗的な事をやるのは若さなんですよ。だからそんなにやかましくいう事はないと私は思います。真面目な優等生はつまらないわね。
編 : 部活を経験して良かった事はありましたか。
瀬戸内寂聴先生 : 3年間、外で暗くなるまで走り回った事は良かったですね。若いときは、自分を抑えて規則に従うという経験はしておいた方がいいですね。仲間で一緒にやるって事もいいですし、無駄な事はないですよ。それに自分の意見ばかりは押し通せないし、人の意見が聞けるようになるのは良い事ですよね。
編 : 僕の考えですが、将来、才能で生きていける人はごくわずかだと思っています。そうするとほとんどの人は、自分を抑えて我慢して生きていかなくてはならない事が自然と多くなるので、それなら、若いときに少しでもつらい事や苦しい思いを経験した方が、その後の人生において、つらい事があった時、踏ん張れると思うので、僕は部活をやる事が大事だと思い、HERO INTERVIEWをやっているんです。
瀬戸内寂聴先生 : そうですね。でもね、全ての人に才能はあるんですよ。ただその才能を出せているか出せていないかの違いだけなんです。例えるなら、氷山です。見えている部分が波の上にちょっとでも、見えていない海の中にかくれている部分はたくさんあるんですよ。だから、「あの人は才能がある」って言うけど、あの人だけあるんじゃないんですよ。みんなに才能はあるんです。それを自覚していないだけ。
部活道と作家道
編 : 部活の経験が、50年の作家生活を続けて行く上で、活きた部分はありましたか。
瀬戸内寂聴先生 : 部活動を経験したことは良かったと思います。でも、だからと言って、オリンピックを見るかっていうと見ないし、サッカーも見ないわね。 ふつうは自分がやっていたら気になるはずなのにね。 でもフィギュアスケートは見るわね。あれは綺麗だから。(笑) 部活をしてよかったのは、他者との関係が自然に身につくことね。
編 : 一つの事を続けていく事って大切ですか。
瀬戸内寂聴先生 : 大切なんか無いわよ。嫌だったらやめればいいのよ。好きなものはすてておいても長く続くでしょ。だから好きな事を見つけることがまず大事ね。 親はね、良い学校に入らなければ良い職業に就けないって、子供に勉強させるけど、自分の子供が頭が良いはずないじゃない。(笑) それなのに高望みして、良い学校に行けって言うでしょ。 そんな事よりも親に反対されても自分の好きな事をやったほうが良いわね。
編 : 僕もその考えと一緒なんですが、今、自分のやりたい事がわからないという人が多いんです。そういう場合はどうしたらよいでしょうか。
瀬戸内寂聴先生 : そうね。今、“自分探し”って言葉が流行っているでしょ。自分が何だか分からないから教えてほしいって言うけど、そんなの自分で探せばいいって思うわよ。そういうところがおかしいと思うわね。そして何にもしないでつまらないって言うけど、何かを一生懸命したら、つまらない事なんてないんですよ。つまらないって言うのは一生懸命何かをした事が無いんですよ。
編 : でも、それを説明して理解してもらうのは難しいですよね。
瀬戸内寂聴先生 : 最初の教育の出だしが悪いのかもしれないわね。成績を良くしろとか、あの子を追い抜いてでも頑張れとか、そういうことばかり言うでしょ。
編 : 競争は人とではなくて、自分とだと思うんです。
瀬戸内寂聴先生 : この間、「高校アフロ田中」の著者、のりつけ雅春さんに会ったんだけど、面白かったですよ。なんで面白いかというと、彼のマンガは心理マンガなのね。彼は高校を途中で辞めて、母親がとても怒ったらしいのだけど、彼は学校がつまらないからやめたと言うのね。でもその道で成功したからいいじゃないですか。だからよく辞めたねって言ったの。(笑)
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