いつも心に“部活道” ~先輩からのメッセ|中高生部活マガジン HEROINTERVIEW


2008年07月31日

∟ 中高生へのメッセージ

瀬戸内寂聴先輩

とても優しく微笑む瀬戸内寂聴さん

中高生へのメッセージ


編 : 最近、様々な社会事件があります。僕は祖母と二人で暮らしているのですが、命の尊さを学ぶ事として、お年寄りや、ペットと一緒に住んだりするのは大事だと思うのですが。

瀬戸内寂聴先生 : 昔みたいに大家族で住むのがいいのよ。部屋に鍵なんかかけないでね。核家族では人間はだんだん年をとって、体が弱くなって死んで灰になるのをそばで見ていないでしょ。生きている事のありがたみがわからないのね。

編 : そういった死を身近に感じないから、生きるという事に対してなんだか違った方向に目標をもっているような気がするんです。 ブランドにこだわったりする欲が強いと思うんです。そういう事がこういう事件などにつながっているような気がするんですが。

瀬戸内寂聴先生 : 自分に誇りも自信もないのね。自分の生まれた国に対する誇りもないし、だから私は、源氏物語を読んでほしいの。こんな素晴しいものが千年も昔に日本にはあったんですから。紫式部という天才女性がかいたんですよ。 イジメもそうですよ。自分がされて嫌な事は人にするなって事です。 自分が痛い目にあうのが嫌なら、人を痛めるな。自分が殺されるのが嫌なら、人は殺すな。 それが根本です。

編 : 中高生にも必要な言葉や時間、そして場所があると思うのですが、「青空説法」のような形で中高生に向けてメッセージをお願いいたします。

瀬戸内寂聴先生 : 若い時は二度と帰らないのね。すぐ無くなっていく。だから今あるその若さを全面的に活かさなくては損ですよ。若いからできるって事はあります。何かを見つけて一生懸命やればいいのです。人生の始まりの若いときの出発を間違えたら遠回りしなくてはならない。だから自分の好きな事をよく考えて、その道に突入すればいい。好きな道を選べば、少々辛くても辛抱できる。嫌な道を行けば、なんでもかんでも嫌になる。そうすると生きるのがつまらなくなる。 それと私は「若き日に薔薇を摘め」と言うんですけど、これはイギリスの詩人の言葉なんですけど、薔薇の花っていうのは美しいですよね。それを手で摘もうとすると、とげが刺さって傷がつきます。それを恐れていてはつまらないです。若いときの傷はすぐに治るから、手に傷がついても摘みなさい。体の傷も、心の傷もすぐになおるから、傷つく事をおそれずに何事にも勇気をもって挑戦してほしいです。

●2008年7月 徳島県立文学書道館にて
(取材・文・写真/小山基彰)

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■ 瀬戸内 寂聴(せとうち じゃくちょう)
 1922年、徳島県徳島市生まれ。東京女子大学国語専攻科卒業。1956年「女子大生 曲愛玲」で第3回新潮社同人雑誌賞受賞、61年『田村俊子』で第1回田村俊子賞を受賞、63年『夏の終り』で女流文学賞受賞。1973年に得度、法名「寂聴」となり、京都・嵯峨野に寂庵を結ぶ。1987年から岩手県の浄法寺町で天台寺住職を務めるかたわら、執筆活動も続け、92年『花に問え』で谷崎潤一郎賞、96年『白道』で芸術選奨文部大臣賞を受賞、97年には文化功労者に選ばれる。1998年に第49回NHK放送文化賞、2006年文化勲章受賞。これまでの著作により多くの文学賞を受賞した。

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